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『断章の間隙』解説

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橋屋の本『断章の間隙』の元ネタなどを解説します

前提

これは、2024年5月26日発行(コミティア148)の橋屋燕『断章の間隙』という本についての記事です。

先に同書を読んでから当記事を読むことを想定しています。

『断章』について

ご覧になった方はお分かりのように、この本はとても短い短編集+挿絵絵本です。

短編の内容は橋屋の実際の夢日記から再構成されています。わりとそのままなものもあれば、かなりの改変を加えたものも収録されています。

2023年末頃から制作しました。

プロローグ・エピローグには特に元ネタはありません

夢について

私は夢日記を読むのが好きです。Fedibirdでは #夢 のタグをタイムラインに購読して、他人の夢日記をウォッチしています(ありがたい話)。

夢の内容はしばしば現実の生活を反映します。目を凝らすとその人がそこにいるよりも詳しく見えてしまうように思われることがありますが、SNSでいろいろベラベラ喋っておいて何を今更という感じなので開き直って夢について書いています。おもしろいから…

解説

元ネタになった夢は、最古は2017年頃にそれとして書き溜めた夢日記のストックからほとんどを選びました。2023年5月時点で45,000字程度あり、一旦メモする場所を変えました。確認しましたが、それ以降の夢日記は今回は使っていなかったようです。

本の内容では変えてありますが、以下、元の夢の内容には悪夢・グロテスク・ショッキングなもの(現生しない小動物?の死など)が含まれます。

一部けっこうガッカリな内容になっているかもしれません。

よければ以下どうぞ。

はじめに、あるいは遥か前に見たこと

一番古い夢の記憶です。10歳以前に見たような気がしますがそうでもないかもしれません。
当然テキストでは保存しておらず記憶頼りなので、細かいところは曖昧です。しかしあまりに強烈でずっと覚えているのは、マーブル模様で紫色、丸みのある巨大な柱が、見慣れた街に広範と点在していることへの不吉な感覚です。映画か何かに影響されたのでしょうか。鳥瞰する視点を覚えています。

よく見ると、挿絵の広大な都会の風景はタイリングで作ってあることがわかりますね。東京タワーから撮った昔の写真です。

啓示

わりとそのままです。冴え渡った大気の中、スラックラインを渡る。601.m01という文字列は微妙に曖昧ですが、なんかこうだった気がすると思ってメモしました。存在しない言葉(?)を夢で見るのは個人的には珍しいので印象的です。

この日の夢日記にはこの文字列しか書いてありませんでしたが、こんな様子が思い出せました。

カイロス

言葉で説明するのに苦労しました。夢によくある、夢の中ではそれが理にかなっていることを納得している状態を表現するというのが難しいですね。

火事の街

その季節はカマキリが生まれてちょっと大きくなる頃、と夢日記に書かれていたのですが、ちょっと嫌だな…と思ったので「虫」程度にしておきました。

海で浮き輪を祖母に持たせようとして見たらもういなかったと書きましたが、夢の中ではその時亡くなってしまったようです。しかし暖かい祖母の家に帰ると、やはり窓辺に腰掛けていました。炎と死と再生、なにか因果を感じます。

居間で朝顔という女の子に話しかけたとき、さっきの火事は夢だったのかと思います。本当にすべてなにもなかったかのようでした。

しかし化粧道具のコンパクトを開いた時、火事の消防隊員を鏡越しに見て、さっきのことが現実で、逆に今のことが確かではないかのように思われました。

コンパクトを閉じて夢は終わります。

日々1

ごく短い話を集めるページを作りました。一瞬の夢も、私を軸に繋がっていますね。その隙間になにかありますか?

カストル:そのままです

ミモザ:黄色の夢でした。二人で一つの傘を差していた気がします。もう憧れてなどいない、というのは肯定的な気持ちでした。それでも私達は同じ色をしていました

飴玉:夢ってこういうところがありますよね。挿絵が好評でよかったです。小さく描いてしまったので残念…

下睫毛:神絵師の描く睫毛が上手すぎるという内容

街角

お見せしたことがありませんが、「街角」という絵を描いたことがあります。

道で拾った見慣れない卵を孵化させると、生まれてきたのはプテラノドンでした。その首を締めて殺してしまった。飛び起きました。手を強く握っていたことに驚きました。

家の裏口扉前の廊下というのは実家の構造そっくりそのままの様子でした。

ちょっと怖すぎるので変えました。

日々2

煉獄:そう言っていたのは米津玄師(みたいな人)だった…。4時か5時のところを捻って開けると、大学のピンバッジが入っています。

レモン:また黄色の夢を見ています。CCレモンのことです。

他:とくに書くことなし

駆る者

家出の夢でした。家出するときはいつも何かに追われている。マリカー8でした。

ジャンクションは好き。

なんでもない

カッターというのは大きめで黄色のあれです。元の夢はもっと調子に乗った感じです。

夢日記によると自販機の展示をやっていたようですが覚えていません。

石の壁で少しじめっとした感じだった気がしますが、それが緑に溢れる無人の空間に合っていると思ってこんな感じになりました。情報量が少なかったので付け足し部分をひねり出しました。

挿絵が気に入っています。

大階段

元の夢を貼っておきます。

知り合いの先生がうちで風呂に入って、風呂場に600段くらい階段作って上がるの遅くなったとか言ってて意味わからない

ブログに某バンドのこと書いていて、<フォロワーの名前>が嬉しさ(?)のあまりキレてた 夢の中まで…  

というかキレ方がありのままだった

起きたら、3人の変な死体があった(変死体とは違うと思う 死んでいるだけなので)  

女の子を真ん中に男2人がその脇で、3人川の字になって仰向け  

全員アイマスクかなんかで目隠しがされていて、医療器具を身に付けていた 聴診器とか ほぼ裸  

向かって右の男はハムみたいな丸くて細長い湿布を両腹に貼っていた  

それぞれお腹辺りに2本ずつくらい細い棒が刺さっていて、誰かが尿道が何とかと言っていた 明らかに尿道の位置ではない

その知り合いの先生が、増毛?シート状のもの貼り付けたら一瞬なんじゃないかと言ったら、有識者がこれは400本くらいある、実際に頭皮に生えている というようなことを言ったのでテープで不自然に貼り付けたかつらの男を想像した 不自然

死体がうんぬんなどは気色が悪いので完全にカット。

忘れ物

否定的に見えたら申し訳ないのですが、一般的な(まともな)宗教団体にさえなにか悪いイメージがあるというわけではありません。

もう他にすがれない人から搾取している存在怖いねという夢でした。ここでは個人情報が抜かれていた。

大浴場に入るには顔認証が必要と書きましたが、SMS認証でもいけるらしかったです。いけるんかい。

宿泊施設でいろいろ見た後、自分が青い本を拾っていたことが明かされました。持ち主に返すのはやめて捨てようと思いました。

日々3

可島点:ない言葉の夢

百合の造花:また黄色の夢。でかめのイオンかどこかのFrancfrancでした

ほか:とくになし

物資運搬

わりとそのままです。死んだかと思って、しかし生きていました。よかったね。

おまけ

表紙絵

↓このラフを流用しました。本の表紙にするつもりではなかったと思います

挿絵のキャラクター

表紙にもデカデカといるロングヘアのキャラクター。とくに名前や設定はありません。

クレリックワンピースを着ているので、クレリックワンピース子と呼んでいます。姿の詳細が定まっていません。

あんまり設定があると描きにくいというものです。

31ページ

挿絵の上下に線が入っているのはミスです。

32ページ

InDesignの画面をスクショして配置してあります。黒塗りに見えてお気に入り

33ページ

表紙絵の完成以前の段階のものを使いました(ページが余ったので)。

おわりに

この記事を、あるいは本も読んでいただいたという方がいらっしゃればとても嬉しいです。

自分は楽しいけどこれはどうなんだと思ってかいていたので脳がこの本のことを過去のものにしようと必死ですが、それをこの記事で締めてしまっておこうと思います。

解説記事を出すくらいなので、もっと聞かれたらふつうにお答えします。これはどうなんだみたいなのがあれば教えてください。


それでは、この本はこれでおしまい。

また次の夢でお会いするかもしれません。